受変電設備とは外部から「受電」して、敷地内で「変電」する設備です。
ビルメンは保安規定に則って、受変電設備の点検や記録を取らなければなりません。
施設によって頻度は様々ですが、日常記録、週点検、月次点検、年次点検などを行います。
電気を使う施設には必ずあります。
受電設備に関しては、各家庭やマンションにも設置されています。
ドライヤーを使ってたら電気が落ちて、家のブレーカーを投入した経験はありませんか?
そのブレーカーが入っているボックスが受電設備です。
この記事では、ビルや商業施設などの電気設備でビルメンが一番覚えなければならない「受変電設備」に焦点を当てて説明させていただきます。
どのように電気は受変電設備へ送られてくる?
発電所でつくられた電気は、275kV~50kVという超高電圧に変電されて送電線へ送られます。
この超高電圧を、各地に設けられた超高圧変電所で154kVまで変電し、一次変電所で66kVにまで下げられます。
66kV~154kVに変電された電気は、一部が鉄道会社や大規模工場、研究施設、データセンターなどに送られて、各企業内の特高変電設備で必要な電圧に落とされます。
変電を繰り返して徐々に電圧を下げるのは、発熱による送電ロスを少なくするためで、長距離の区間を効率的に送電することができます。
66kVまでに変電された電気は、中間変電所に送られ、さらに22kVに変電され、大規模工場やコンビナートに電気が供給されます。
22kVに変電された電気は次に配電変電所へ送られ、6.6kVに変電されて大規模なビルや中規模工場へ配電されます。
6.6kVになった電気は電柱の上にある柱上変圧器(トランス)で100Vまたは200Vに変圧され、引込線から各家庭へと送られます。
送電経路
特別高圧変電設備とは

特別高圧は、受電電圧が20kV以上で、さらに契約電力が2,000kW以上の場合に該当します。
電力会社のメニューとしては、20kVと60kVが標準で用意されています。
電気料金メニューとしては、従量料金が安く設定されている場合が多いです。
そのため、特別高圧受変電設備は、大規模工場やデータセンターなど大容量の電気が必要な施設で採用されています。
受変電設備の構成
- 断路器
- 遮断器
- 変圧器
- 区分開閉器
- 制御装置
- 低圧配電設備
- 保護継電器
- 計測機器
で構成されます。
これらの機器も色々な種類があります。
そしてこれらの機器を収容する方法として「キュービクル式」と「開放式」というものがあります。
キュービクル式受変電設備
キュービクル式は工場生産により標準化(量産化)、簡素化、本質安全化がなされています。
開放形に比べて、安価で省スペースの設置が可能になっただけではなく、保安コストにも優れているため、現在はキュービクル式が一般的な受変電設備となって様々な工場、ビル、商業施設に設置されています。
キュービクルは設置してしまうと工場やビルなどの管理者であっても、普段は意識することがない設備です。
生産設備のように費用対効果が分かりやすい設備ではありませんが、万一停電になる電気事故が発生した場合、生産設備が止まってしまったり、オフィスに電力が届かないので業務が出来ない状態になってしまいます。
キュービクルは人間の体でいうと心臓部に当たる大切な設備であり、電気事故がないように点検や適切な改修が必要とされています。
開放形受変電設備
開放型の受変電設備は、キュービクル方式と比較して設置面積が大きくなります。
そのため、工場などでなければあまり採用されることはありません。
開放形の受変電設備は、変圧器や幹線系統の増設や点検が容易であり、所定の安全設備を設ければ、充電状態のままでの点検も比較的容易で、高いメンテナンス性が確保できるのがメリットです。
建物の延床面積に余裕のある工場や物流施設、頻繁に受変電設備を増設または変更する用途の建築物であれば、開放形の受変電設備を採用するメリットはあります。
保安規定とは?

電気事業法第42条に基づき、事業用電気工作物を設置する者は、事業場又は設備ごとに電気工作物の工事・維持及び運用に関する保安を確保するため、保安規程を策定し、遵守しなければなりません。
また、保安規程を変更したときは、遅滞なく保安規程の変更届出を提出しなければなりません。
【保安規程に定める事項(電気事業法施行規則第50条)】
- 電気工作物の工事、維持又は運用に関する業務を管理する者の職務及び組織に関すること。
- 電気工作物の工事、維持又は運用に従事する者に対する保安教育に関すること。
- 電気工作物の工事、維持又は運用に関する保安のための巡視、点検及び検査に関すること。
- 電気工作物の運転又は操作に関すること。
- 発電所の運転を相当期間停止する場合における保全の方法に関すること。
- 災害その他非常の場合にとるべき措置に関すること。
- 電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安についての記録に関すること。
- 電気工作物の法定事業者検査に係る実施体制及び記録の保存に関すること。
- その他電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安に関し必要な事項。
これらを違反した場合、電気主任技術者免状の返納を命じられる可能性があります。
正当な理由がないのに返納しなっかた場合10万円以下の罰金となります。
気を付けましょう!
電気主任技術者の業務内容と保安規定については、↓こちら解説させていただきましたので、お時間あるときにでもご確認いただけたら嬉しいです。

受変電設備を管理するのに必要な資格

受変電設備の保守管理・運用には必ず電気主任技術者を配置しなければならず、
- 第三種電気主任技術者:50,000V未満の電気工作物(出力5,000kW以上の発電所を除く)
- 第二種電気主任技術者:170,000V未満の電気工作物
- 第一種電気主任技術者:170,000V以上の電気工作物
が必要となります。
電気主任技術者については、↓こちらで解説させていただきましたので、お時間あるときにでもご確認いただけたら嬉しいです。
>>>電気主任技術者免状を取得するための勉強方法とおすすめ参考書|体験談紹介

まとめ

この記事では建物施設に関する
- 電気の配電経路
- 特別高圧受変電設備の概要
- 受変電設備の構成
- 保安規定の概要
- 受変電設備管理に必要な資格
について書かせていただきました。
ビルメンにとって電気設備の知識を持つことはとても重要となります。
理解できるよう日々勉強していくことをおすすめします。
電気設備全体の概要・まとめは、↓こちらで解説させていただきましたので、お時間あるときにでもご確認いただけるとうれしいです。

電気主任技術者を受験される前に、「第二種電気工事士」を持っていない方は、こちらを先に取得することをおすすめします。
電気工事士の概要や勉強方法、おすすめ教材等は、↓こちらで解説させていただきましたので、お時間あるときにでもご確認いただけたら嬉しいです。
>>>電気工事士免状を取得する為の勉強方法とオススメ参考書│技能試験練習方法

少しでも参考になりましたらうれしいです。
私のプロフィールは、↓こちらに記載していますので興味がありましたらご確認ください。
>>>メッセージ&プロフィール ブログを始めた理由と保有資格

Twitter: @buchikirin1もやってますので、ぜひフォローの方よろしくお願いします。