建物設備では消火器や火災感知器、スプリンクラー、消火栓などの消防設備が設置されています。
消防設備を設置したり、点検したりするのには「消防設備士」の資格が必要になります。
消防に関する資格は多くあります。
今回紹介する「消防設備士」だけでも8種類、甲種乙種を分けると13種類になります。
今回は8種類あるうちの中から「第6類消防設備士」に焦点を合わせて解説します。
ビルメンが持つべき資格としては賛否両論ありますが、持っておいて損はない資格です。
確かに会社や転職などでは評価されにくい資格ではあります。
ただし、私個人の意見になりますが、消防設備士の勉強をするだけで「防災や災害」への意識が向上します。
消防設備の概要を抑えておくだけで、いざというとき(災害時等)に役に立つのではないかという思いもあります。
各消防設備の扱い方や役割を、多くの方に理解していただきたいと思っています。
話がそれましたが、この記事では元警備会社系列ビルメンで、消防設備を多く見てきた私が解説させていただきます。
正しい知識を身に付けてね!!
第6類消防設備士が独占業務で扱える消防設備
消防設備士の資格の中で、第6類消防設備士が扱える消防設備は「消火器」になります。
消火器という単語を、聞いたことがない人はいないかと思います。
ビルメンが管理する物件には必ず設置されているはずです。
近年では、ご自宅に消火器を設置しているご家庭も多くなってきました。
この消火器ですが、本体ラベルをちゃんと見ると大体のものは使用期限というのがあります。
業務用消火器が約10年、家庭用消火器が約5年ほどです。
使用期限が過ぎた消火器を使用すると、災害時に消火剤が出なくなったり、容器が破裂したりします。
使用期限が過ぎた場合は、消火器の交換または容器の耐圧試験を行わなければいけません。
ただし、購入から5年くらいしたら消火薬剤を詰め替える必要があります。
耐圧試験を行ったり、消火剤を詰替えたりといった作業は「第6類消防設備士」の独占業務となります。
ちなみに耐圧試験を実施すると、購入するより割高になる可能性がありますので、買い替えをおすすめします。
第6類消防設備士の試験科目
第6類消防設備士の試験科目及び問題数は以下の表のとおりです。
特類 | 第1類 | 第2類 | 第3類 | 第4類 | 第5類 | 第6類 | 第7類 | ||||
甲種 | 筆記 | 消防関係法令 | 全ての指定区分に共通する部分 | 15 | 8 | 8 | 8 | 8 | 8 | ||
指定区分ごとに異なる部分 | 7 | 7 | 7 | 7 | 7 | ||||||
(小計) | 15 | 15 | 15 | 15 | 15 | 15 | |||||
工事整備対象設備等の構造、機能および工事または整備の方法 | 15 | ||||||||||
工事整備対象設備等の性能に関する火災及び防火に関わる知識 | 15 | ||||||||||
機械又は電気に関する基礎知識 | 機械に関する部分 | 6 | 6 | 6 | 10 | ||||||
電気に関する部分 | 4 | 4 | 4 | 10 | |||||||
(小計) | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 | ||||||
消防用設備等の構造、機能および工事または整備の方法 | 機械に関する部分 | 10 | 10 | 10 | 12 | ||||||
電気に関する部分 | 6 | 6 | 6 | 12 | |||||||
規格に関する部分 | 4 | 4 | 4 | 8 | 8 | ||||||
(小計) | 20 | 20 | 20 | 20 | 20 | ||||||
合計 | 45 | 45 | 45 | 45 | 45 | 45 | |||||
実技 | 受験に係る消防用設備等に関する鑑別等 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 | |||||
受験に係る消防設備等に関する製図 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | ||||||
試験時間 | 2時間45分 | 3時間15分 | |||||||||
乙種 | 筆記 | 消防関係法令 | 全ての指定区分に共通する部分 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 | |
指定区分ごとに異なる部分 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | ||||
(小計) | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 | ||||
機械又は電気に関する基礎知識 | 機械に関する部分 | 3 | 3 | 3 | 5 | 5 | |||||
電気に関する部分 | 2 | 2 | 2 | 5 | 5 | ||||||
(小計) | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 | ||||
消防用設備等の構造、機能および工事または整備の方法 | 機械に関する部分 | 8 | 8 | 8 | 9 | 9 | |||||
電気に関する部分 | 4 | 4 | 4 | 9 | 9 | ||||||
規格に関する部分 | 3 | 3 | 3 | 6 | 6 | 6 | 6 | ||||
(小計) | 15 | 15 | 15 | 15 | 15 | 15 | 15 | ||||
合計 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 | 30 | ||||
実技 | 受験に係る消防用設備等に関する鑑別等 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 | |||
試験時間 | 1時間45分 |
筆記30問、実技5問 計35問になります。
第6類消防設備士の科目免除
第6類消防設備士は「甲種5類」「乙種5類」を取得している場合、
- 消防関係法令の共通部分
- 基礎的知識
が免除になります。
「甲種5類」「乙種5類」以外の消防設備士を取得している場合、
- 消防関係法令の共通部分
が免除になります。
また、他資格や実務経歴によっても免除できる項目がありますので、一般財団法人 消防試験研究センターHPをご確認ください。
私個人の意見としては、科目免除はおすすめしません。
科目免除できる「消防関係法令の共通部分」、「基礎的知識」は勉強すれば簡単に出題数の80~100%を獲得できます。
他科目はそれなりに勉強しないと60%下回ることもありますので、取れる科目で点数を稼いだ方が無難です。
第6類消防設備士の合格基準
第6類消防設備士の合格基準は、
- 筆記試験において、各科目毎に40%以上で出題数全体の60%以上
- 実技試験において60%以上
で合格となります。
試験の一部免除がある場合は、免除を受けた以外の問題で上記の成績を修めた方を合格としてます。
第6類消防設備士の勉強方法
第6類消防設備士は比較的簡単な資格になります。
しっかり勉強すれば2週間で取得可能です。
他類の消防設備士を持っていれば、3~7日あれば取得可能です。
「消防関係法令」・「構造・機能および工事または点検・整備の方法」の勉強方法
第6類は、参考書を繰り返し読んで勉強しておけば問題ありません。
そのうち勝手にインプットされるはずです。
どうしても覚えられない部分は、試験直前に参考書を確認し、試験開始と同時に問題用紙へ書いてください。
もし、その問題が出た場合、問題用紙に書いた部分を確認すれば簡単に解けます。
私も設置基準などの細かい数字を覚えるのは、苦労した記憶があり、上記の方法を活用してました。
ただし、細かい数字は『実技試験』の方でも出題されることが多いです。
できるだけしっかりと記憶しておいた方が無難です。
消防設備士試験が初めての方は「消防関係法令」に関しては、しっかりと覚えてください。
今後他類を受験する際や、ビルメンなら消防監査時にとても役に立ちます。
鑑別等試験の勉強方法
鑑別等試験の写真鑑別では、写真に対して「名称」「使用用途」「動作原理」などが出題されます。
鑑別等試験の写真鑑別については、↓こちらで解説させていただきましたので興味がある方はご確認ください。
>>>第6類消防設備士の実技試験 鑑別等試験『写真鑑定問題』をマスターしよう!
「構造・機能および工事または点検・整備の方法」をしっかり理解していないと解けない問題が多く出題されるので、しっかりと「構造・機能および工事または点検・整備の方法」を理解することが重要です。
第6類消防設備士のおすすめ参考書
私がおすすめする第6類消防設備士の参考書は
みんな大好き「工藤本」の【わかりやすい!第6類消防設備士試験】です。
本当に分かりやすく絵付きで説明されており、ややっこしい部分は語呂合わせなどで説明してあります。
これ一冊だけで十分です。
もう少し問題を多く解きたいってかたは、これも「工藤本」の【本試験によく出る!第6類消防設備士問題集】を追加するだけで問題ありません。
鑑別の問題も第6類消防設備士レベルであれば、この本だけで十分かと思いますが、不安な方はWebなどで検索してみるのもありかなと思います。
また、消防設備士試験で各類のオススメ参考書の紹介と、参考書の選び方については、↓こちらで解説していますのでお時間あるときにでもご確認ください。
>>>各類消防設備士免状取得の為の参考書の選び方│合格者が使用した本を選ぼう
わかりやすい!第6類消防設備士試験
第4類消防設備士を受験される方のほとんどは、この『わかりやすい!第6類消防設備士試験』を購入されます。
試験会場で周りを見ても、大体の方が使用していました。
タイトルのとおり分かりやすく解説されているので、全類共通部分に関しては復習もかねて使うことが可能です。
売り切れになることも多いので、受験される予定の方は早めにご購入されることをオススメします。
本試験によく出る!第6類消防設備士問題集
上記の『わかりやすい!第6類消防設備士試験』のデメリットは、練習問題が少ないことです。
この『本試験によく出る!第6類消防設備士問題集』はそんなデメリットを穴埋めしてくれます。
『わかりやすい!第6類消防設備士試験』を購入せず『本試験によく出る!第6類消防設備士問題集』だけで受験される方もいらっしゃるので、とても人気のある問題集となります。
こちらも売り切れになることも多いので、受験される予定の方は早めにご購入されることをオススメします。
まとめ
今回は第6類消防設備士の
- 第6類消防設備士が独占業務で扱える消防設備
- 第6類消防設備士の試験科目
- 第6類消防設備士の科目免除
- 第6類消防設備士の合格基準
- 第6類消防設備士の勉強方法
- 第6類消防設備士のおすすめ参考書
について書かせていただきました。
この記事で書かせていただいたように、しっかりと勉強すればだれでも合格はできます。
消火器の種類から扱い方などの問題もあり、防火防災などの災害知識としても役に立つことが身に付けます。
資格取得と合わせて、災害への関心も深めていただければと思います。
全ての消防設備士の取得を目指している方は、見ていただければ少しはお手伝いができるかと思います。※特類を除く
一人でも多くの方の参考になれば幸いです。
では、ぶちキリンでした。
私のプロフィールは、↓こちらに記載していますので興味がありましたらご確認ください。
>>>メッセージ&プロフィール ブログを始めた理由と保有資格
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