冷凍機械を構成する主要機器には、圧縮機や凝縮器、蒸発器などがあります。
他にも受液器や冷却塔、安全装置、油分離機、液分離器、自動制御など様々な機器で構成されています。
冷凍機械責任者試験においても、これらの主要機器問題は出題されやすいです。
『主要機器』問題に関しては名称さえ覚えてしまえば、あとは想像力で補うことができます。
冷凍機械責任者試験において、できれば覚えておいた方がいい内容です。
この記事では『安全装置・油分離機・液分離器・自動制御』の使用目的やしくみ、働き方について高圧ガス製造保安責任者(冷凍機械)のビルメンが解説します。
冷却塔は、クーリングタワーとも呼ばれますが、冷凍機械責任者試験では『冷却塔』で出題されますのでこちらで覚えておきましょう。
冷却塔は、水冷式凝縮器で一度使用された温められた冷却水を冷却し、再度冷却水として循環使用するためのものです。
冷却塔はプラスチック製の充てん剤に、凝縮器で一度使用して温められた水を散布し、外気をファンで送ります。
水の蒸発熱による冷却作用を利用して、再び元の温度に冷却する機器です。
開放式冷却塔とは、冷却水を冷やすための外気(空気)と冷却水とが直接接触し、冷却水の一部の蒸発によって残りの冷却水を冷やすもので、空調用として広く使われています。
冷却水を効率的に冷却するため、水を滴状にして表面積の大きな充填材に流すことで、冷却水と外気の接触時間を長くします。
冷却水と外気の接触方法として、上から落下する冷却水に対して、外気を下から上へ当てる〈向流型〉(カウンターフロー方式)と、外気を直角に当てる〈直交流型〉(クロスフロー方式)があります。
密閉式冷却塔とは、冷却水を熱交換器の管内に通し、管外側に冷却用の外気と散布水を散水して冷却しています。
密閉式の特徴は、冷却水の汚れを嫌うデータセンターなどの施設に採用されています。
冷凍装置には、様々な安全装置が設置されています。
一番重要で、冷凍機械責任者試験問題にも良く出題される装置として
があります。
これらの安全装置は、冷凍装置が異常高圧になった場合、装置内の圧力を下げ、装置の破壊を防ぐ装置になります。
安全弁は、冷凍装置の安全装置の代表的位置づけになります。
冷凍装置内のガス圧力が異常に高くなった場合、弁が開き、装置外に高圧となったガスを放出させるか、低圧側に逃がすかして、冷凍装置の破壊を防ぐ装置です。
高圧ガスがスプリングを押し上げることによって弁が開き(拭き始め)ます。
装置内の圧力が下がってくると、スプリングの力で再び弁が閉じる(吹き止まり)ます。
溶栓は、可溶栓又はヒューズメタルとも呼ばれます。
冷凍装置内の高圧ガスが異常に高温となった場合、溶栓が溶けて高温になったガスは装置外に放出されて装置内の圧力を低下させ、安全弁と同じように機器の破壊を防ぎます。
一度作動してしまうと吹き止まらず、装置内の冷媒ガスが全て放出されることが安全弁とは異なります。
プラグの内空部の中に低い温度(75℃以下)で溶融する金属が詰められています。
溶栓は、凝縮器、受液器などに使用されています。
破裂板は、ラプチャーディスクとも呼ばれます。
破裂板は溶栓と同じで、一度作動してしまうと吹き止まらず、装置内の冷媒ガスが全て放出されることが安全弁とは異なります。
主にターボ冷凍機や吸収冷凍機に使用されています。
高圧遮断装置は高圧圧力スイッチとも呼ばれます。
圧縮機から吐出される冷媒ガスの圧力が異常に高くなって装置が破裂する危険があるときに、圧縮機を回している電動機の電気回路を切ります。
電気回路を切ることにより、圧縮機の運転を停止され、危険を未然に防止します。
高圧遮断装置は、冷凍装置の安全弁より低い圧力で作動するように設定されています。
高圧遮断装置が何らかの故障で作動しない場合、次に安全弁が作動して、冷凍装置内の圧力を下げるような構造となっています。
高圧遮断装置や低圧遮断装置、油圧保護装置、断水リレーは圧力の変化を検知してスイッチの接点を入切させる圧力スイッチを利用し、自動的に圧力制御を行っています。
低圧遮断装置は、圧縮機の吸入圧力があまり低下しすぎたとき、圧縮機を回している電動機の電気回路を切って、運転を停止させ空気の吸い込みなどを防止します。
高圧遮断装置と低圧遮断装置を一つにまとめた高低圧遮断装置というものもあります。
油圧保護装置は、油圧が低下した時に、圧縮機を自動的に停止させるものです。
圧縮機の回転部と摺動部には、潤滑油の給油が必要となりますが、圧縮機内には圧力が硬化すると注油量が減少し、圧縮機の焼付、破損の恐れが生じます。
断水リレーは、冷却水量が減少した時、凝縮圧力が上昇する前に圧縮機を停止させる装置です。
水冷凝縮器では、冷却水が停止すると凝縮能力がほとんど無くなってしまい、凝縮圧色が著しく上昇する危険があります。
油分離器はオイルセパレータとも呼ばれます。
油分離器は、圧縮機から吐出された冷媒ガス中の油を分離除去する装置になります。
圧縮機の中には油が入っており、圧縮機の摺動部を潤滑しています。
油が少しずつ冷媒ガスとともに吐出され、凝縮器や蒸発器へ流れると、冷却面が油膜で包まれて伝熱作用が低下してしまいます。
油分離器を取りつけて、吐出ガス内の油を除去することにより、伝熱作用低下を防ぐことができます。
油分離器の構造は、内部にじゃま板や金網が設けられており、油はこれらにあたり分離し、下部へ落下してたまっていきます。
冷媒はじゃま板や金網を通り抜けますので、凝縮器の方へ流れていくことが可能となります。
液分離器は、アキュムレータとも呼ばれます。
蒸発器から液冷媒が圧縮機に戻ると液圧縮を起こしてシリンダを破損させてしまう恐れがあります。
液とガスを分離して、ガスのみを圧縮機に吸入する役目を担っています。
分離させた液は、液圧縮を起こさないようにU字管底部に設けられた小さな穴から少しずつ吸い上げられ、圧縮機に吸い込まれていきます。
冷蔵庫の温度を一定に保つ温度調節器(サーモスタット)のように、自動的にコントロールする機器を、自動制御機器と呼んでいます。
冷凍装置には、膨張弁、電磁弁、蒸発圧力調整弁、吸入圧力調整弁などの自動制御機器があります。
膨張弁は、冷凍サイクルの4工程のうちの一つで膨張するために使用される、冷凍装置を形作る基本的な機器です。
もっともよく使われている膨張弁は、温度自動膨張弁です。
温度自動膨張弁は、冷凍負荷の変動に応じて弁が開閉し、蒸発器出口で蒸発しきった冷媒の温度と蒸発温度との差(過度熱)を一定に保つ機能を有する弁です。
電磁弁は、電磁石の作用により開閉される弁です。
電磁弁は、配管に取付けられ、冷媒、油、ブラインなどの流れを制御するために使用されます。
蒸発圧力調整弁は、蒸発器から圧縮機の間の吸い込み配管に取付けられ、蒸発器の圧力が設定圧力以下に下がらないように調整するための弁です。
多数の冷蔵室があり、各室の蒸発器を異なった温度で運転したいときなどに使用されます。
吸入圧力弁は、圧縮機の吸入圧力が上昇して、電動機が過負荷にならないように調整する弁になります。
この記事では
について解説させていただきました。
冷凍機械責任者試験では、今回紹介した機器はどれかしらが2~3問出題される程度です。
難しかったら飛ばしてしまっても大丈夫ですが、理解してしまえば簡単な機器ですので、できるだけ覚えるようにしましょう。
特に自動制御機器の『安全弁』は重要な機器ですので、しっかりと覚えておきましょう。
冷凍機械責任者試験については、↓
>>>第三種冷凍機械責任者を取得しよう!勉強方法とおすすめ参考書
>>>第一種冷凍機械責任者を取得しよう!勉強方法とおすすめ参考書
↑で解説させていただいています。
これから冷凍機械責任者試験を受験される方は、勉強方法やおすすめの参考書を紹介させていただきましたのでご確認ください。
もっと詳しく冷凍機構造を知りたいという方は『図解入門 よくわかる最新冷凍空調の基本と仕組み』をご確認いただければ、図を用いて詳しく説明しています。
分かりやすく説明している為とてもオススメできる参考書です。
少しでも参考になっていただけたら嬉しいです。
では、ぶちキリンでした。
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