冷凍機械を構成する主要機器には、圧縮機や凝縮器、蒸発器などがあります。
他にも受液器や冷却塔、安全装置、油分離機、液分離器、自動制御など様々な機器で構成されています。
冷凍機械責任者試験においても圧縮機の問題は多く出題されますが、正解率が低いのが現状です。
しかし、名称と形、動きさえ覚えてしまえば、あとは想像力で補うことができます。
冷凍機械責任者試験において、必須で覚えておいた方がいい内容です。
この記事では圧縮機の使用目的やしくみ、働き方について高圧ガス製造保安責任者(冷凍機械)のビルメンが解説します。
冷凍機械装置の主要機器の中で最も重要とされているのが『圧縮機』です。
コンプレッサーと呼ぶ方もいますが、試験では圧縮機と書かれるので『圧縮機』でいったん覚えておきましょう。
圧縮機は。冷凍作用でガス状になった冷媒を圧縮し、高圧ガスにする役目をもっています。
圧縮機の主要なタイプとして4つの圧縮機があります。
これら4つの圧縮機について解説します。
往復動式(レシプロ式)圧縮機は、現在で最も幅広い分野で使われています。
電動機の回転運動を直線運動に変えて、ピストンで冷媒ガスを圧縮します。
下図のように、シリンダの中をピストンが往復動して、ピストンが下がると冷媒ガスがシリンダ内に吸入され、上がると圧縮されて送り出されます。
シリンダの数は2個から、多いものでは16個ほどあります。
往復動式圧縮機は、圧縮機と電動機の取りつけ方法によって、3つのタイプに分けられます。
以下に3つのタイプの往復動式圧縮機を解説します。
各部はボルト締めの為、簡単に分解修理が可能となります。
『アンモニア』や『フルオロカーボン22』などを冷媒として使用する業務用の大型冷蔵・冷凍装置が主流となっています。
全密閉型圧縮機は、圧縮機と電動機が一つの鋼板製のケースに完全に溶接によって密封されています。
いったん故障してしまうと製造工場に持ち込んで修理しなければなりません。
しかし、保守作業はほとんど必要ないという利点があります。
冷媒は『フルオロカーボン134a』『フルオロカーボン22』『フルオロカーボン502』などが用いられ、小型圧縮機のほとんどが全密閉型圧縮機で占められています。
家庭用電気冷蔵庫、家庭用エアコン、パッケージ型エアコンなどに広く使用されています。
半密閉形圧縮機は、開放型圧縮機と全密閉型圧縮機の中間的な構造になります。
圧縮機と電動機は一体のクランクケースの中に収められていますが、全密閉型圧縮機と異なる部分は、ケースが溶接によって密封されずにボルトで締められています。
そのため、故障の際には分解修理することが可能となります。
冷媒は『フルオロカーボン134a』『フルオロカーボン22』『フルオロカーボン502』などが用いられ、大型の冷房装置に多く使用されています。
回転式圧縮機(ロータリー式)ではピストンが回転運動して、冷媒ガスを圧縮します。
構造は比較的単純ですが、高い加工精度が要求され、摩耗してしまうと著しい能力低下を起こしてしまいます。
往復動式圧縮機と比べると、振動が少なく、高速小型化が可能となります。
回転式圧縮機には、
があります。
以下に3つのタイプの回転式圧縮機を解説します。
回転ピストン形回転式圧縮機(ロータリングピストン)は、シリンダ内部にシリンダと偏心した回転子(ロータ)があり、シリンダの中心を軸とした回転運動を行います。
冷媒ガスはシリンダと偏心回転子の間に吸入され、圧縮されて吐出されます。
吸入側と圧縮機の仕切りは、すべり弁で、回転子の表面に常に接しており、圧縮ガスが吸入側へ漏れないようになっています。
ロータリーベーン形回転式圧縮機(スライディングベーン)は、シリンダに対して上方向に偏心して取りつけられた回転子(ロータ)があり、その回転子に羽根(ブレード)が組み込まれています。
回転子が回転すると遠心力で羽根が飛び出して、シリンダ内壁に密接して摺動し、三日月方の空間中の冷媒ガスを圧縮します。
冷媒は『フルオロカーボン134a』『フルオロカーボン22』などが用いられ、家庭用電気冷蔵庫、家庭用エアコンなどに広く使用されています。
スクロール圧縮機は、固定スクロール外側の吸込み口から冷媒を吸入します。
圧縮空間に封じ込められた冷媒は、旋回運動に伴う圧縮室の縮小によって、渦の中心に向かって圧縮されます。
圧縮空間は中心部で最小となるため冷媒は最高に圧縮され、中心部にある吐出し口から外へ押し出されます。
※上図は空気圧縮ですが、冷媒圧縮も同じ工程で圧縮されます。
スクリュー式圧縮機の構造は、オス・メス2つの歯車を持ったロータのねじが、平行にかみ合って密封線を作っています。
溝の中に吸入された冷媒ガスは、吐出口にでるまで圧縮が続けられます。
構造は簡単ですが、ロータの加工には極度の精密さを要求されます。
冷媒は『フルオロカーボン134a』『フルオロカーボン22』『フルオロカーボン502』などが用いられ、構造上は大容量機種に向いています。
また、1段の圧縮比が高く取れるため、比較的大型のヒートポンプの冷凍装置に使用されています。
遠心式圧縮機の圧縮作用は、往復動式圧縮機のように容積圧縮方法ではなく、冷媒ガスを高速回転の羽根車(インペラ)に吸入させます。
ガスに速度を与えてディヒューザ部で、速度エネルギーを圧力エネルギーに変換させる圧縮方式を使用しています。
冷媒は『フルオロカーボン123』『フルオロカーボン134a』『フルオロカーボン22』などが用いられ、大容量に適した圧縮機です。
遠心式圧縮機も往復動式圧縮機と同様に、開放型と密閉構造があります。
この記事では
について解説させていただきました。
圧縮機は冷凍機械の構成機器の中で、冷凍サイクルの『圧縮』部分を構成する機器となり、最も重要な部分となります。
冷凍サイクルについては
>>>冷凍サイクルについて理解しよう!│熱力学(冷凍機械の原理)
↑で解説させていただいています。
冷凍サイクルを理解していない方は是非ご確認ください。
冷凍機械責任者試験でも必ず出題される項目ですので、しっかりと理解しましょう。
『圧縮機の名称・形・圧縮方法』だけでも覚えておけば、出題されている問題で何が言いたいのかがある程度理解できます。
冷凍機械責任者試験については、
>>>第三種冷凍機械責任者を取得しよう!勉強方法とおすすめ参考書
>>>第一種冷凍機械責任者を取得しよう!勉強方法とおすすめ参考書
↑で解説させていただいています。
これから冷凍機械責任者試験を受験される方は、勉強方法やおすすめの参考書を紹介させていただきましたのでご確認ください。
もっと詳しく冷凍機構造を知りたいという方は『図解入門 よくわかる最新冷凍空調の基本と仕組み』をご確認いただければ、図を用いて詳しく説明しています。
分かりやすく説明している為とてもオススメできる参考書です。
少しでも参考になっていただけたら嬉しいです。
では、ぶちキリンでした。
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