冷凍機械を構成する主要機器には、圧縮機や凝縮器、蒸発器などがあります。
他にも受液器や冷却塔、安全装置、油分離機、液分離器、自動制御など様々な機器で構成されています。
冷凍機械責任者試験において『凝縮器・蒸発器・受液器』の問題は出題されやすいです。
『凝縮器・蒸発器・受液器』に関しては名称さえ覚えてしまえば、あとは想像力で補うことができます。
冷凍機械責任者試験において、できれば覚えておいた方がいい内容です。
この記事では『凝縮器・蒸発器・受液器』の使用目的やしくみ、働き方について高圧ガス製造保安責任者(冷凍機械)のビルメンが解説します。
冷凍機械における凝縮器(コンデンサ)
凝縮器は、コンデンサとも呼ばれますが、冷凍機械責任者試験では『凝縮器』で出題されますのでこちらで覚えておきましょう。
凝縮器は圧縮機で高温、高圧になった冷媒ガスを液体(液化)にする機器です。
家庭で使われる冷蔵庫の裏を見ると、細いパイプがならんでいますが、その細いパイプが凝縮器になります。
凝縮器には基本的に3つのタイプがあります。
- 水冷凝縮器
- 空冷凝縮器
- 蒸発式凝縮器
大規模な冷凍装置になると基本的に『水冷凝縮器が』採用され、家庭用冷蔵庫やルームエアコン(パッケージ形エアコン)などの小規模な冷凍装置では『空冷凝縮器』が採用されます。
空冷凝縮器
空冷凝縮器は、冷媒を『空気』で冷却液化させます。
空冷凝縮器は、コイル(冷却管)が何列にも並んでおり、各コイルの熱伝導をよくするためにフィン(冷却用ひれ)を取りつけて放熱面積を拡大しています。
ファンを設けている『強制通風式』と、ファンを設けていない『自然対流式』のものがあります。
水冷凝縮器
出典―神威産業
水冷凝縮器は、冷媒を『水』で冷却液化させます。
水冷凝縮器の中で一般的なものとして『シェルアンドチューブ凝縮器』があります。
横置きに設置され、鋼板製円筒内に多数の冷却管が取りつけられ、冷却管の中に冷却水を通します。
冷却水を通すと、円筒上部から入った冷媒ガスは冷却されて凝縮し、液状の冷媒になります。
蒸発式凝縮器
蒸発式凝縮器は、『空冷と水冷』を兼ね備えた凝縮器です。
通称『エバコン』と呼ばれています。
コイル(凝縮管)の上部から冷却水を均等に散水、下部から送風機で送風して、風がコイルの表面を通ったときに、水の蒸発熱によって冷却されます。
蒸発式凝縮器は、冷却水が十分に得られない場所で使用され、アンモニア冷凍装置の凝縮器として使用されることが多いです。
冷凍機における蒸発器
出典―株式会社クライオワン
蒸発器は、冷媒を低温低圧で蒸発させて、冷凍作用を行う機器になります。
冷媒は蒸発器に接している物から熱を奪い、液体から気化してガスになります。
周囲の物から熱(蒸発熱)を奪うことによって物を冷やします。
蒸発器には、冷却管の中を冷媒が流れて、冷却管の出口で完全にガスになる『乾式蒸発器』と、蒸発器の中に常に液状の冷媒が入っている『満液式蒸発器』があります。
蒸発器は呼び方が色々あります。
- エバポレータ
- 冷却器
- 冷却コイル
- クーラー
- 水熱交換器
- 室内側熱交換器
【おまけ】程度に覚えておきましょう。
プレート形蒸発器
出典―Alibaba.com
プレート形蒸発器は、家庭用冷蔵庫などに使われています。
冷蔵庫の製氷室として使われているところで、接着された二枚の金属板に冷媒の通路がつけられており、製氷室や冷蔵庫内を冷やす構造となっています。
プレートフィン形蒸発器
出典―Alibaba.com
家庭用エアコンや事務所などで使用されるエアコン(パッケージ形エアコン)などで使用されています。
パッケージ形エアコンでは、冷却管にフィンの取りつけられたものが使用され、室内の空気はファンによって強制循環させています。
シェルアンドチューブ蒸発器
シェルアンドチューブ蒸発器は、オフィスビルの冷房装置などに使用されます。
乾式のシェルアンドチューブ蒸発器の一例として、円筒内に多数の冷却管が設けられており、『冷却管内に冷媒』、『冷却管外の円筒内に冷水』が流れる構造となります。
作られた冷水は、ファンコイルユニットなどの空調機に送水され室内の冷房を行います。
満液式のシェルアンドチューブ蒸発器もほぼ同じ構造となりますが、『冷却管内に冷水』、『冷却管外に冷媒』が流れる点が異なります。
冷凍機械の受液器(レシーバ)
出典―明美製作所
受液器はレシーバーとも呼ばれますが、冷凍機械責任者試験では『受液器』で出題されますのでこちらで覚えておきましょう。
冷媒は冷凍装置の中を循環していますが、負荷の変動によって蒸発器内の冷媒量も変動します。
受液器は冷媒の変動を吸収する機器となります。
家庭用エアコン(パッケージ形エアコン)のように小さい冷凍装置では、冷媒量も少ないため受液器はありません。
ほとんどの大きな冷凍装置には、受液器は設置されています。
また、水冷凝縮器には、冷媒を下部に貯められるように空間を設けてあるものがあります。
受液器を兼ねた凝縮器で、コンデンサレシーバーと呼ばれています。
受液器は単なる円筒形の容器で、容量の大きい受液器には液面計や安全弁などが取りつけられています。
まとめ
この記事では
- 冷凍機械における凝縮器(コンデンサ)
- 冷凍機における蒸発器
- 冷凍機械の受液器(レシーバ)
について解説させていただきました。
凝縮器、蒸発器は冷凍サイクルを理解するうえでも重要な機器となります。
冷凍サイクルについては
>>>冷凍サイクルについて理解しよう!│熱力学(冷凍機械の原理)
↑で解説させていただいています。
冷凍サイクルを理解していない方は是非ご確認ください。
冷凍機械責任者試験では、凝縮器、蒸発器は出題されやすい機器ですので、覚えるようにしましょう。
受液器に関しては、役割を軽く覚えておく程度でも大丈夫です。
冷凍機械責任者試験については、↓
>>>第三種冷凍機械責任者を取得しよう!勉強方法とおすすめ参考書
>>>第一種冷凍機械責任者を取得しよう!勉強方法とおすすめ参考書
↑で解説させていただいています。
これから冷凍機械責任者試験を受験される方は、勉強方法やおすすめの参考書を紹介させていただきましたのでご確認ください。
もっと詳しく冷凍機構造を知りたいという方は『図解入門 よくわかる最新冷凍空調の基本と仕組み』をご確認いただければ、図を用いて詳しく説明しています。
分かりやすく説明している為とてもオススメできる参考書です。
少しでも参考になっていただけたら嬉しいです。
では、ぶちキリンでした。
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